自分が年を重ねるにつれ、自分の親たちも間違いなく高齢になっていき、今までできていたことが少しずつできにくくなっていくのを目の当たりにすることが増えて行きます。
実家から離れて暮らす子供世代にとって、高齢の親世代への心配事が少しずつ気になり始めます。
特に、築年数の経っている家は、バリアフリーへの配慮がなされていないことが多く、安全に暮らせないのではないか、などの不安が日々膨らんでいきます。
そんな不安や、どうやって少しでも安心できる日々を手に入れられるかなどを、シェアしてみよう、との思いで仲間内の座談会を開催しました。
事前アンケートにお答えいただきました!
当日の所要時間は1時間。
なるべく効率的に進められるよう、事前にアンケートにお答えいただき、ご質問などをいただきました。
しかしながら、参加者の皆さんのご心配事がたくさんあり、時間内に全部についてお話することが出来ず、やや消化不良気味で終了となってしまいました。
せっかく書いていただいたので、ブログでその内容に触れてみたいと思います。
ご質問のボリュームがありますので、何回かに分けてお話しすることにします。
当日のお話の内容やアンケートに書かれていた心配事は大きく分けて5つ。
1.家の老朽化
2.浴室に関すること
3.トイレ・キッチンなど浴室以外の水回りに関すること
4.古い家具など、ご実家に残されたモノたちの片付けのこと
5.漠然とした不安
今回は、1の家の老朽化のお悩みごととについてと、少しだけ4のお片付けのことについて、アンケートのご質問をふまえながら書いてみようと思います。
家の老朽化に伴うお悩み事
老朽化したご実家をリフォームするかどうか・・・
これに関しては、二つの方向性によって考え方が変わります。
1.その家に、今後も子供世代の誰かが住む場合。
2.今お住まいの方が住まなくなったらその後は誰も住まない場合。
1の場合は、
今住んでいる方と、現在同居または将来その家に住む方のご希望に沿って、ある程度の予算をとってのリフォームをする、という決断がしやすいと思います。
ただ、状況によっては建て替えるのと変わらないくらいお金がかかってしまうことも多々あります。
特に、1981年以前に建てられた住宅に関しては、現在の耐震基準を満たしていないことが多いので、耐震診断をしたうえでのリフォームが望ましいと思います。
それにより、耐震補強が必要になると、予算が膨らみますので、そういう可能性も踏まえて、専門家とじっくり相談して決めるのがいいでしょう。
耐震診断については以下のサイト詳しく書いてありなすので、参考になさってください。
さて、2の場合は判断が難しいところです。
この先どれくらいの年月を過ごすかわからない、そして、おそらくはそれほど長い年月ではないだろう、と親世代・子供世代それぞれが思っていたり、子供世代の中でもご兄弟で意見が分かれたり、様々な思いが錯綜します。 このとき考えなければならないのは「目的」と「優先順位」です
何のために、誰のためにリフォームするのかを考えてみる
前出の2のケースについて考えてみましょう。
私の個人的な考えとしては
フルリフォームはかなりのお金や時間を要するので、まずは、明らかに困っているところから考えていくといいと思っています。
・放っておくと危険を伴う
・あきらかに壊れている
・使いにくい、通りにくいなど不便・実害を伴う
など、毎日の生活に支障をきたしているけど、我慢しながら、だましだましなんとかしのいでいる、ような部分をピックアップしてみましょう。
家の外部で言えば、雨漏りや外壁や屋根の破損による穴など。
家の中に水が入ると、家が傷むのはもちろんですが、見えないところにカビがはえたりして、健康被害も考えられます。
外壁や軒裏の穴などから小動物や虫が侵入することもあり、こちらも衛生的によろしくない上に、小動物のたてる物音で安眠が妨げられることもあります。
高齢のために、耳の聞こえが悪くなり、物音がよく聞こえなくて、天井裏にハクビシンが繁殖して住みついていたことに気づかなかった、という例もありました。
外部の工事は高額になりがちですが、応急措置だけでも早々にすることをお勧めします。
家の中を考えると、そのお宅ごとに様々なケースが思い浮かびます。
共通するのは、古いお宅は概ねバリアフリーではない、と言うことです。
また、お住まいになっている方たちの健康状態がさまざまであることから、必要とするものがそれぞれのケースで変わってきます。
私が一番に優先すべきと考えているのは
住んでいる親世代の方達の「安全」
そして、離れて暮らす子供世代の方達の「安心」です。
「快適な暮らし」はもちろん大切ですが、少しでも危険を感じるときは、それをできるだけ回避する方向へのリフォームをお勧めします。
大がかりなリフォームとまではいかなくても、手摺を付ける、開きくい扉をカーテンなどに変える、床に座る生活を椅子に変える、段差解消などの介護グッズを使ってみる、玄関に小さな椅子を置いてみる、などそれほどお金をかけなくてもできることは色々あります。
内容によっては介護保険でレンタル出来たり、工事費用負担が少なくて済んだり、補助金が使えたりすることもあるので、調べてみるといいでしょう。
お身体が不自由になってから、と考えがちですが、不自由になってから新しい環境に慣れるのはなかなか大変です。
今、なにか不具合を感じていたら、まずは小さな部分からでも、安全・安心なほうに進んでみてはいかがでしょう。
お悩み事はほかにもいろいろ
老朽化したお宅の使っていない部屋の設備について、修理すべきかどうか、のご質問もいただきました。
これに関しては、さしあたって必要ないと考えます。
また、将来売却するときのために設備等をメンテナンスしておいた方がいいかどうかをお悩みの声もありましたが、その土地の買い主が建物をどう活用するかわからないし、更地を希望されるかもしれないので、そこまで考えなくてもいいと思います。
それよりは今現在必要なことに目を向けることが先決です。
将来の家や土地の処分についてのお悩みもありました。
現在お住まいのところに不動産会社などに査定に来てもらうのには抵抗がある・・・
と思うのは当然のことです。
直接敷地内や室内に入る詳しい査定はできなくても、場所や広さでざっくりとした土地の価値を教えてもらうことも可能ですし、商業施設用や福祉施設用に土地を探している人たちもいますので、ニーズを知ることも可能です。
お片付けのことを少しだけ
家の歴史とともに積み重ねられた「もの」のお片付けに関わるお悩みも・・・
築年数が経っている分、ご実家は物が増えていきます。
片付けに関しては、今回のテーマからはちょっと外れますので、ここで詳しくはお話ししませんが、この場合もリフォームと同じように「優先順位」をつけて片付け始めることをお勧めします。
今使っている場所、使いたい場所から始めてみましょう。
廊下、階段など生活動線上に邪魔になっているものがあれば、取り除き移動するだけでも安全度が増します。
もし、近い将来介護ベッドの導入が予想されるのであれば、寝室となる部屋を片付けて広いスペースを作っておくと、いざというときに慌てずに済みます。
住み慣れた家の中では、室内が景色のように感じてしまっていることが多いので、一度写真を撮ってみることをお勧めします。
思わぬ危険や不便さに気が付くかもしれません。
リフォームと同じように、片付けることで安全・安心が手に入ることも多いと思います。
家族の思い出が詰まったものたちを、高齢の親世代の方達が手放す決意をするのには相応の時間が必要です。
完璧をめざさず、小さな一歩から始めてみましょう。
今回は、ざっくりと老朽化とお片付けに関する心配事に触れてみました。
次回は心配事として一番多かった浴室に関して書いてみようと思います。
オンライン相談も受け付けています。
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